AGです。

いろいろバイクを検討している中で、
思った以上に
このバイクは人気があるなぁ。
と個人的に思うバイクがありました。

ヤマハのMTシリーズです。

中でもMT-07は
日本市場でほぼ不発に終わってきた
750ccクラスのネイキッド
なので不思議に思ったのでした。

で、MTシリーズを調べていて
引っかかったのが

『クロスプレーン・コンセプト』

というキーワードです。

あれ?MTシリーズって
全車クロスプレーンエンジンン
なの??

そもそも、
クロスプレーンエンジンって
具体的にはどんなものだろう?

クロスプレーン クロスプレーンエンジン クロスプレーンコンセプト

 

YZF-R1で採用されたクロスプレーン

バイク乗りが
「クロスプレーン」
と聞いてまず思い出すのは
ヤマハ YZF-R1です。

2009年にモデルチェンジした
YZF-R1はそれまでの
レンズタイプヘッドライトから
むき出しプロジェクターランプに
姿を変え、
エンジンも4気筒なのに
2気筒みたいな
ドロドロ、ドコドコ鳴るエンジン
になってしまって、
実は私の場合、コレで
YZF-R1への興味が吹っ飛びましたw

なんかR1は
「コレジャナイ」
って思ったんです。

クロスプレーンエンジン
についても今回調べるまでは
「WGPが2サイクルエンジンだったころにあったNSR500の同爆V4エンジンみたなモンでしょう?」

ぐらいにしか思っておらず
(まぁ近からず、遠からずだったのですが)
あまり興味がありませんでした。

 

クロスプレーンエンジンとは?

クロスプレーンというのは
エンジン内の
クランクシャフト構造の一種です。

自動車のV8エンジンで
採用されるのが一般的で、
元々は振動を減らして
バランサーなど部品点数を減らし、
軽量化にするための技術です。

クランクピンが
90度で交差しているので

クランクシャフトの端から
面として見ると十字

に見えるので、
クロス(十字)プレーン(面)
と呼ばれています。

クロスプレーン 1

▲▼ 赤い矢印が『クランクピン』

クロスプレーン 2

 

4サイクルエンジンは
ピストンが2回上下することで
クランクを1回転させます。

通常の4気筒エンジン
(180度クランク、フラットプレーン)
の場合は
爆発が等間隔に起こります。

直列4気筒エンジンで
クロスプレーンの
クランクシャフト構造にしようとすると、
V8エンジンから
片側バンクを取り外した
様な状態なので、
同じく不等間隔爆発となり、
排気音も不規則になるので
ドロドロ、ドコドコ
といった音がする
という事です。

直列4気筒エンジンで
クロスプレーン
クランクシャフト構造に
しようとすると、
結果的に
不等間隔爆発になってしまう
ということですね。

クロスプレーンクランクシャフトのメリット

ピストンがシリンダーで
一番上になるタイミング(上死点)、
反対にピストンがシリンダーで
一番下のタイミング(下死点)
に来ると、
次は逆転の動きになるので
ピストン自体の速度は

一瞬『ゼロ』になります。

ピストンの速度がゼロになると、
ピストンは繋がっている先の
クランクシャフトを
止めようとする力を発生させます。

逆に上死点・下死点の
中間点である90度と270度では
ピストン自体の速度は
最大になります。

この時にピストンは
繋がっている先の
クランクシャフトを
最大限に回転させようとします。

クロスプレーンエンジンではない
180度クランクエンジン
(フラットプレーン)では、

1番シリンダー、
4番シリンダーの
ピストンが上死点にある時に

2番シリンダー、
3番シリンダーの
ピストンが下死点にあり、

4つの全てのピストンが
クランクシャフトの回転を
止めようとする力を
発生させます。

逆に
1番シリンダー、
4番シリンダーのピストンが
中間点にある時には、

2番シリンダー、
3番シリンダーの
ピストンも中間点にあり、

4つの全てのピストンが
クランクシャフトの回転を
最大限回そうとします。

この止めようとする力と
動かそうとする

『回転変動』
クランク1回転で2回発生し、
慣性トルク変動
というものを発生させます。

www.youtube.com

 

この『回転変動』
4回発生させ、
クランクシャフトを
止めようとする力と
動かそうとする力を
打ち消し合うようにされたのが
クロスプレーンエンジンです。

www.youtube.com

 

慣性トルク変動の発生を減らすとどうなるのか?

慣性トルクというのは
読んで字のごとく
クランクシャフトにかかった
慣性力の事です。

「動いているものは動かし続けよう」
「止まろうとしているものは止めよう」

とする力です。

この慣性力が減る
という事は
クランクシャフトの回転を
変化させやすいという事です。

つまりは
コーナー脱出時に求められる
リニアなトルク発生や
優れたコントロール性に
繋がるのです。

▼上記を読んで頂いてから見るとわかりやすいと思います。

www.youtube.com

 

不等間隔爆発エンジンのメリット

クロスプレーンクランクシャフト
にすることによって
結果的に
不等間隔爆発
になるわけですが、
これにもメリットがあります。

コーナーリング中の
リアタイヤのグリップ力を
確保する

この事に有効だと言われています。

グリップ力と
不等間隔爆発エンジンの関係は
1990年代のワールドグランプリ
WGP500ccクラスで
ホンダ NSR500
によって証明されました。

当時トップライダーであった
マイケル・ドゥーハン
の意見によって、
これまで「ハイパワー至上主義」だった
開発方針を変え、
NSR500の開発陣は
エンジン出力を
タイヤへ導くことに着目しました。

NSR500

 

そこで、

『不等間隔位相同爆方式』

と呼ばれる技術を
開発、採用したのです。
(当時のレース中アナウンスでは「同爆エンジン」と呼ばれていました。)

この新エンジンは、
それまでの甲高い排気音よりも
太く低い音となり、

ドカンと爆発するイメージもあって、
『ビッグバンエンジン』
とも呼ばれています。

不等間隔で起爆することによって、
断続的にリアタイヤにかかっていた力に
リズムをつけることになり、
有り余るハイパワーを
確実に路面に伝えることに成功。

つまりはABSのような
ポンピングブレーキならぬ

『ポンピングアクセル』
(こんな言葉はありませんw)

人間では操作できないレベルで
アクセルの
開け閉め状態を生み出しているのです。

で、ヤマハの
クロスプレーンエンジンでの
不等間隔爆発も
このビッグバンエンジンと同じこと。

断続的に
リアタイヤに力を加えるのではなく、
一定のリズムを与えて、
特にコーナーリング中のグリップを
向上させているのです。

MTシリーズの『クロスプレーン・コンセプト』

いろいろ『クロスプレーン』について
調べてわかりましたが、

『クロスプレーン・コンセプト』
というのはヤマハが作り出した言葉です。

キャッチコピーです。

クロスプレーン・コンセプトと
クロスプレーンエンジンは別です。

実はクロスプレーン・コンセプト
だからといって
『クロスプレーン型クランクシャフト』
を採用した
『クロスプレーンエンジン』
ではないという事です。

MTシリーズで
実際クロスプレーンエンジン搭載なのは
YZF-R1と同じエンジンの

MT-10だけです。

長くなったので
MTシリーズのご紹介は
別記事でしたいと思います。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございます。